社会福祉の中には高齢者福祉分野、障がい者福祉分野、児童福祉分野と3つの分野で構成されており、今回は児童福祉について筆者の私見も含めて解説していきたいと思います。
児童福祉分野での社会福祉士はどんな仕事をしているのかなのか。
社会福祉士は、前述した3つの分野にて当事者の方やそのご家族などからの相談に応じ、複数回の面談から課題の抽出、解決に向けて共に行動をし、不安を払拭するという点において、分野は違っていてもソーシャルワークの一連の流れや目的は同じであると思います。しかし、対象とするクライアントの違いや、制度の違い等もあり全く同じとは言い切れない所もあります。
児童福祉分野は、18歳(児童福祉法にて。)までを児童と定めています。家庭内や親子間の課題、児童の生活面に関する問題など児童を中心とした課題解決のために、児童相談所や学校などの教育機関、児童養護施設(昔は孤児院という言われ方をしていた時代もある)といった、家庭から親子分離を行い保護施設という側面のある施設にて18歳までの期間を過ごします。
社会福祉士は児童指導員という職種にて児童の日常生活の支援(掃除や食事の準備等)など児童の将来の事も踏まえて支援を行います。また、相談職として(一定の現場経験が有る事が望ましい)家庭支援専門相談員(ファミリーショーシャルワーカー)という職種に就くことも可能となっています。
家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)とは。
(業務内容)
〇入所中の児童が早期家庭復帰できる様に保護者等への相談援助
1.保護者等への施設内もしくは保護者宅訪問による相談援助
2.退所後の児童に対する継続的な相談援助
〇里親委託の推進のための業務
1.里親希望家庭への相談援助
2.里親への委託後における相談援助
3.里親の新規開
〇養子縁組の推進のための業務
1.養子縁組を希望する家庭への相談援助等
2.養子縁組の成立後における相談援助等
〇地域の子育て家庭に対する育児不安の解消のための相談援助
〇要保護児童の状況の把握や情報交換を行うための協議会への参画
〇施設職員への指導・助言及びケース会議への出席
〇児童相談所等関係機関との連絡・調整
〇その他業務の遂行に必要な業務
家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)になるには?
〇社会福祉士若しくは精神保健福祉士の資格を有する者
〇児童養護施設等において児童の養育に5年以上従事した者
〇児童福祉法第13条第2項各号に該当する者。
※学校教育法に基づく大学又は旧大学令に基づく大学において、心理学、教育学若しくは社会学を専修する学科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者であって、厚生労働省令で定める施設において一年以上児童その他の者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行う業務に従事したもの。
これから児童福祉分野で働こうと思われる方々の中に、児童分野の相談員業務に関心のある方は多いかと思います。資格要件に社会福祉士若しくは精神保健福祉士を有する者と書かれており、資格を保持していれば制度上は可能となります。しかし、現実はそうは行かず、すべての分野の相談員職に言えるのですが、資格+豊富な現場経験や人生経験が重要であると筆者は思います。
2024年には「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー(仮称)」という資格が新設される。
昨今、子育て家庭における虐待等が増加傾向にあり、社会問題となっています。
子どもを中心に考えつつ、子育て家庭を社会全体で支えいく「子ども家庭福祉」という観点から、現在の社会福祉士資格だけでは専門性に不安がある事から、児童福祉の相談支援のスキルや専門性の向上の為、新設されることとなります。保護者の心のケアなどを行い、虐待に至らない様に相談支援は大変重要な業務となります。
資格取得要件
1.社会福祉士・精神保健福祉士の有資格者の場合
①相談援助の実務経験2年
②子ども家庭福祉指定研修(100h程度)
⇓
子ども家庭福祉ソーシャルワーカー認定
2.現任者の場合(社会福祉士・精神保健福祉士以外の者)※当分の間の経過措置
①子ども家庭福祉分野での相談援助の実務経験4年以上
②ソーシャルワークに関する研修の受講
③子ども家庭福祉指定研修(100h)
⇓
子ども家庭福祉ソーシャルワーカー認定
〇養成校等のカリキュラムについて。
資格が新設されるにあたり、変更点があります。
従来の社会福祉士・精神保健福祉士の指定科目の上乗せとして「子ども家庭福祉専門科目の履修(500h程度)」となる。
※参考 第27回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会(令和3年4月23日)
まとめ
「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー(仮称)」という資格が新設されることになり、社会福祉士は注目を集めることになりそうです。
この資格の新設について、
高齢者福祉や障がい者福祉にはまだまだ足らない部分はありますが、多様な福祉サービスが展開されつつあります。児童福祉分野はまだまだ支援が足りていない事が現状であると思います。
これからの日本社会を担う彼らを社会全体で支え、また彼らが成人となり次の世代の為に支えるという流れを途切れない様にする為にも、今できる事をしなければと筆者も常々思い、何ができるのかを考えている所です。この資格が起点となり、世代関係なく広く福祉を知って頂ければと思っています。筆者もその役割のほんの一部を担えれる様に頑張りたいと密かに思っています。
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